山葡萄バッグはなぜ高い?一生モノの価値と選び方
「山葡萄のバッグはなぜ高いのだろう?」と、その奥ゆかしい佇まいと価格を見て、一度は疑問に思ったことはありませんか。百貨店の催事や工芸品店で見かけるたび、多くの人がその魅力と価値に関心を寄せています。また、審美眼に優れた芸能人や著名人が愛用している様子から、その特別な「格」に憧れを抱く方も少なくないでしょう。しかし、実際の使い心地に関する詳細な口コミや、10年後にどのような美しい変化を遂げるのかについては、意外と知られていないかもしれません。
数十万円にもなる高価な買い物だからこそ、後悔しないための慎重な選び方や、残念ながら市場に存在する品質の低い品物との偽物の見分け方を事前に知っておきたいものです。中には「使いにくいのでは?」という先入観から、購入の一歩を踏み出せないでいるという声も聞かれます。この記事では、山葡萄のバッグがなぜ高いのかという根本的な疑問の解消から、一生を共にできる”相棒”を見つけるための具体的な秘訣まで、あらゆる角度から深く、そして丁寧に解説していきます。
- 山葡萄バッグが高価である理由と、その背景にある文化的価値
- 品質の良い国産品と安価な輸入品を確実に見分けるための具体的なポイント
- 購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないための選び方と、知っておくべき注意点
- 一生モノとして、いえ、次の世代へと受け継ぐための正しいメンテナンスと保管方法
山葡萄バッグはなぜ高い?その理由と価値を解説
- 山葡萄のかごバッグはなぜ人気があるのですか?
- 山葡萄バッグの値段の違いは何ですか?
- 芸能人も愛用する山葡萄バッグの格
- 山葡萄の寿命はどのくらいですか?
- 使うほどに美しい10年後の姿
山葡萄のかごバッグはなぜ人気があるのですか?

山葡萄のかごバッグが多くの人々を魅了し、時代を超えて高い人気を誇る。その結論から言えば、それは単なるファッションアイテムではなく、「世代を超えて受け継がれるほどの驚異的な耐久性」と、使い手と共に歴史を刻む「使うほどに息をのむほど美しくなる経年変化」という、二つの絶対的な価値を内包しているからです。
その価値の根源は、まず自然そのものが与えてくれる希少な素材と、それを活かす職人の卓越した手仕事にあります。主原料となる山葡萄の蔓は、熊や猪といった野生動物が生息するような険しい日本の奥山でしか採取できません。さらに、蔓が水分を吸い上げてしなやかになる一年のうち梅雨時期のわずか2〜3週間という限られた期間にしか採取が許されず、熟練の職人でさえも、その作業は常に危険と隣り合わせです。採取できた蔓の中でも、バッグの材料として使える厚みや幅、そして傷のない良質なものはごく一部であり、素材そのものが極めて貴重な天然資源なのです。
そして、その貴重な素材から一本のバッグが生まれるまでの道のりは、想像以上に長く、緻密な手作業の連続です。採取した蔓の皮を剥ぎ、それを「なめし」て柔らかくし、厚みや幅をミリ単位で均一に整える「ひご作り」だけでも数週間を要します。そこからようやく編み上げる工程に入り、完成までには半年以上の歳月がかかることも珍しくありません。このように、一本のバッグには、計り知れない時間と手間、そして先人から受け継がれてきた熟練の技術が凝縮されています。この「唯一無二の物語性」こそが、大量生産品には決して真似のできない特別な価値を生み出し、多くの人々から深く支持される核心的な理由となっているのです。
人気の理由まとめ
山葡萄バッグの抗いがたい魅力は、目に見えるデザインの美しさだけではありません。その背景にある、日本の豊かな自然、職人の魂、そして使い手の愛情が三位一体となり、時間と共に価値を増していくという、まさに「生きた工芸品」である点に、その人気の本質があると言えるでしょう。
山葡萄バッグの値段の違いは何ですか?

山葡萄バッグの値段に大きな違いが生まれる主な要因は、「素材の産地(国産か外国産か)」、「蔓の品質(どの部位の皮か)」、そして「編み方の技術的な難易度」という、大きく分けて3つの要素が深く関わっています。
市場には数万円で手に入るものから、高級車が購入できるほどの価格がつくものまで、非常に幅広い価格帯が存在します。これは、これらの要素の組み合わせによって、一つひとつのバッグの価値が大きく変動するためです。特に、日本の山で採取された蔓(国産材)を使い、熟練の職人が手掛けたバッグは、その希少性から非常に高価になるのが一般的です。
具体的な価格差の要因を、より詳細な比較表にまとめました。
比較項目 | 詳細と価格への影響 |
---|---|
素材の産地 | 国産材は採取が年々困難になっており、その希少性から価格は高騰しています(目安として10万円~)。風合いが豊かで、美しい経年変化が期待できます。中国産材は比較的安価(数万円~)ですが、一般的に国産材に比べて固く、経年変化が出にくい、あるいは変化の仕方が異なると言われることがあります。 |
皮の種類 | 一番皮(鬼皮)は蔓の最も外側にあるゴツゴツとした表皮で、野趣あふれる力強い表情が魅力です。耐久性が最も高く、最高級品として扱われます。二番皮(渋皮)は一番皮を剥いだ内側の皮で、比較的滑らかで整った表情をしています。品質が劣るわけではありませんが、希少性から一番皮よりも少し価格が落ち着きます。 |
編み方とひごの細さ | 複雑な編み方(例:「花編み」「亀甲編み」など)は、基本的な「網代編み」に比べて高度な技術と時間を要するため、価格は格段に上がります。また、編み材であるひごの幅が細いほど(例:5mm以下)、しなやかで上品な仕上がりになりますが、より多くの材料と手間が必要になるため高価になります。 |
代表的な編み方の種類
- 網代編み(あじろあみ):最もスタンダードで、ひごを縦横にきっちりと編み込んだ、シンプルで飽きのこない編み方です。
- 乱れ編み(みだれあみ):異なる太さや長さのひごを、その名の通りランダムに編み込んだもので、自然の躍動感が感じられる表情豊かな編み方です。
- 花編み(はなあみ):ひごを六角形に組み、中央が花の模様のように見える愛らしい編み方。非常に手間がかかるため、高価なバッグに用いられます。
近年では「中国産の素材を輸入し、日本の職人が編んだバッグ」など、産地と製作地が異なるケースも増えています。価格の背景を正しく理解するためにも、購入時には「どこで採れた素材」を、「誰が」「どこで」編んだのかをしっかりと確認することが、心から納得できる買い物への第一歩ですよ。
芸能人も愛用する山葡萄バッグの格

山葡萄バッグが持つ独特の存在感と、ある種の「格」は、一過性の流行を追い求めるのではなく、時代に流されない本質的な価値を知る人々に選ばれるアイテムとしての確固たる地位を築いている点にあります。
その背景には、これまで述べてきたように、希少な自然の恵みをいただき、職人が膨大な時間をかけて一つの形にするという、極めてプリミティブでありながら崇高な生産背景が存在します。それは、工業製品や大量生産品とは対極にある、日本の伝統的な手仕事、すなわち「工芸品」としての側面が非常に強いことを意味します。だからこそ、山葡萄バッグは単に物を運ぶための道具ではなく、持つ人のこだわりや美意識、そして自然への敬意をも静かに物語るのです。
例えば、何気ない日常の装い、例えば洗いざらしのシャツとデニムといったシンプルな洋服に山葡萄バッグを合わせるだけで、全体のコーディネートが凛として引き締まり、奥行きのある洗練された印象を与えます。これは、バッグ自体が持つ自然の力強さと、人の手の温もりが融合して醸し出す、唯一無二のオーラによるものでしょう。
審美眼に優れた芸能人やファッション業界のプロフェッショナルたちが、プライベートで山葡萄バッグを愛用するのも、こうしたバッグが内包する本質的な価値と物語性を深く理解しているからに他なりません。経済産業省が定める「伝統的工芸品」にも、地域によっては伝統的工芸品産業振興協会のウェブサイトに掲載されているような、あけび蔓細工などが指定されており、山葡萄のかごも同様に日本の手仕事文化を代表する存在として認められています。メディアで声高に語られることは少ないですが、その佇まいは、本物を見極める力を持つ人々の間で、時代を超えて静かに、しかし確実に評価され続けているのです。
フォーマルな場での使用について
山葡萄バッグは、その素材感から、基本的にはカジュアルなシーンで最もその魅力が発揮されるアイテムです。着物に合わせる場合も、第一礼装である黒留袖や格式高い訪問着といったフォーマルな装いではなく、紬や小紋、木綿といった、いわゆる「普段着」のお着物に合わせるのが一般的です。結婚式の披露宴や格式を重んじる式典など、かしこまった場には不向きとされていますので、TPOをわきまえた使い分けが、大人の嗜みとして大切になります。
山葡萄の寿命はどのくらいですか?

山葡萄のかごバッグについて語られるとき、必ずと言っていいほど耳にするのが「親子三代、100年持つ」という言葉です。これは決して販売戦略上の大げさな表現ではなく、素材の特性と日本の修理文化に裏打ちされた、確かな事実に基づいています。適切な使い方と保管を心がければ、まさに一生モノとして、そして次の世代へと受け継ぐことのできる貴重な資産となり得るのです。
なぜそれほどまでに長持ちするのか。その秘密は、山葡萄の樹皮が持つ驚異的な強靭さにあります。厳しい自然環境で育った蔓の繊維は、非常に密度が高く、簡単には切れたりしません。多くの素材が時間と共に劣化していくのとは対照的に、山葡萄の皮は使い込むほどに繊維が互いに引き締まり、よりしなやかさを増しながら、さらに強度が高まっていくという特筆すべき性質を持っています。
もちろん、何十年と愛用していれば、最も負荷のかかる持ち手部分が緩んだり、日常的に擦れる角の部分がささくれたりすることもあります。しかし、そこが山葡萄バッグの素晴らしいところです。信頼できる工房や販売店の多くは、購入後の修理やメンテナンスに快く対応してくれます。部分的な編み直しや持ち手の交換など、専門家の手によって修復することで、バッグは再び息を吹き返し、新たな歴史を刻み始めることができます。
このように「壊れたら終わり」ではなく、修理をしながら世代を超えて受け継いでいける点は、山葡萄バッグが持つ計り知れない価値の一つです。この「サステナブル(持続可能)な視点」は、使い捨て文化が見直される現代において、ますます多くの人々の共感を呼び、山葡萄バッグが再評価される大きな理由となっているのです。
使うほどに美しい10年後の姿

山葡萄バッグの最大の魅力、そして真骨頂とも言えるのが、購入した時が完成形ではなく、使い手の日常と共に呼吸し、唯一無二の表情へと「育っていく」点にあります。新品の状態ももちろん素敵ですが、丁寧に使い込まれた10年後のバッグは、風格と気品をまとい、全く異なる美しいオーラを放つのです。
新品の山葡萄バッグは、表面がやや乾いていて白っぽく、少しカサカサとした手触りを感じるかもしれません。これが、いわば「すっぴん」の状態です。しかし、日々使い続けることで、持ち主の手の油分が、まるで魔法のように少しずつ蔓の繊維へと染み込んでいきます。この自然の油分が最高の天然ワックスとなり、表面の細かなささくれは滑らかに落ち着き、内側から滲み出るような深く美しい艶が生まれてくるのです。
その変化は、ゆっくりと、しかし確実に進んでいきます。
時間と共に深まる「育ち」の過程
- 【1年~3年後】
新品の頃の白っぽさが取れ、全体的に色が濃くなり始めます。毎日触れる持ち手部分から、艶が出始めるのが実感できる時期です。 - 【5年~7年後】
色味はさらに深みを増し、美しい「飴色」へと変化。表面はしっとりと滑らかになり、光の角度によって上品な光沢を放つようになります。 - 【10年後以降】
飴色はさらに濃く、場所によっては黒光りするような、こげ茶色へと育ちます。その佇まいは、まるで丁寧に手入れされてきた上質なアンティークレザーのよう。風格と気品に満ち溢れ、もはや単なるバッグではなく、持ち主の人生の一部を物語るかのような存在感を放ちます。
10年後のバッグには、あなたと共に過ごした時間、訪れた場所、そして触れた手の温もりが、美しい艶と色の深みとして刻み込まれています。この世に二つとない自分だけのバッグを、まるで我が子のように育てる楽しみ。これこそが、他のどんな高級ブランドバッグにも真似のできない、山葡萄バッグならではの最も贅沢な体験なのです。
こちらの記事もオススメです(^^)/





購入前に知ろう!山葡萄バッグはなぜ高いのか
- 後悔しない選び方と偽物の見分け方
- 百貨店で買うメリットと注意点
- アケビやくるみのかごと山葡萄どれがいい?
- 口コミで見る「使いにくい」は本当?
- 簡単な山葡萄バッグのメンテナンス方法は?
後悔しない選び方と偽物の見分け方

数十万円という投資になることも多い山葡萄バッグだからこそ、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないための選び方と、品質の低い粗悪な品(偽物)を的確に見分ける方法を知っておくことは、絶対に不可欠です。以下の5つの重要なチェックポイントをしっかりと頭に入れ、焦らずじっくりと選んでください。
1. 編み目は均等で、指で押しても緩みがないか
まず最初に確認すべきは、バッグ全体の編み目です。熟練の職人が手掛けたバッグは、まるで織物のように編み目が均一に整っており、どこにも歪みや緩みがありません。指で表面を軽く押してみて、ひごがたわんだり、大きくずれたりしないかを確認しましょう。特にバッグの縁や底の角など、力がかかりやすい部分の仕上げが丁寧であるかが、そのバッグの品質を物語っています。
2. 取っ手は頑丈で、本体と一体化しているか
バッグの寿命を左右すると言っても過言ではないのが、最も負荷がかかる取っ手部分です。付け根の部分が本体としっかりと編み込まれ、何重にも補強されているかを確認してください。持った時にぐらついたり、付け根に隙間が見えたりするものは避けましょう。取っ手の作りが甘いと、早い段階での破損に直結してしまいます。
3. 表面の仕上げは滑らかで、過度なささくれはないか
天然素材である以上、多少のささくれは避けられません。しかし、品質の良いバッグは、最終工程である程度表面を磨いて滑らかに仕上げています。触った時に、あまりにも多くのささくれが刺さるように感じたり、ひっかかりが強すぎたりするものは、仕上げが雑であるか、素材そのものの質が低い可能性があります。
4. 製造元や作家名、素材の産地が明確か
信頼できる国産のバッグには、工房の名前や作家名が記載されたタグや証明書が付属していることがほとんどです。製造元が不明瞭であったり、素材の産地について質問しても曖昧な返答しか得られなかったりする場合は、安価な輸入品である可能性が非常に高まります。「日本製」とだけ書かれていても、「中国産の素材を日本で組み立てただけ」というケースも存在するため、作り手の顔が見えるかどうかは重要な判断基準です。
要注意!粗悪品(安価な輸入品)の主な特徴
「偽物」というよりは、長期使用を想定していない品質の低い輸入品と捉えるのが適切ですが、以下のような特徴が見られる場合は特に注意が必要です。
- 価格が極端に安い(例:ネット通販で4~5万円以下)
- 蔓の色が不自然に明るい、または化学的な染料で着色されている
- 編み方が粗く、形が歪んでいたり、すぐに型崩れしそうだったりする
- 持った時に、素材の密度が感じられないほど不自然に軽い
- 揮発性のあるような、不自然な匂いがする
一概に輸入品が悪いわけではありませんが、世代を超えて使えるほどの高品質なものを求めるのであれば、信頼できる専門店や百貨店で、ご自身の目で確かめてから購入することを強く推奨します。
百貨店で買うメリットと注意点

山葡萄バッグをどこで購入するかは非常に重要な問題ですが、特に初めての方にとって、百貨店は有力な選択肢の一つです。そこには確かなメリットがある一方で、いくつか知っておきたい注意点も存在します。
百貨店で購入する3つの大きなメリット
- 絶対的な品質への信頼性:
これが最大のメリットと言えるでしょう。百貨店は、その看板と信用にかけて、独自の厳しい品質基準で商品を仕入れています。そのため、店頭に並んでいるのは、品質が保証された信頼できる工房や人気作家の製品が中心です。品質の低い粗悪な品を誤って購入してしまうリスクを、限りなくゼロに近づけることができます。 - 実物を多角的に比較検討できる:
写真だけでは決して伝わらない、色合いの深み、蔓の質感、実際の重さ、そして持った時の身体とのバランスなどを、直接確認できる点は何物にも代えがたい利点です。複数の商品をじっくりと見比べながら、心から納得できる「自分だけの一点」を冷静に選ぶことができます。 - 専門知識を持つ販売員への相談:
商品知識が豊富な販売員に、素材(一番皮・二番皮)の違いや、編み方による特徴、日頃の手入れの方法、そして万が一の際の修理の可否など、気になる点をその場で直接質問し、的確なアドバイスをもらえます。この対話自体が、購入後の安心感に繋がります。
百貨店で購入する際の注意点
一方で、価格帯が高めである点は、知っておくべきポイントです。百貨店は、その高い信頼性や上質な接客サービス、そして一等地への出店コストなどが価格に反映されるため、一般的な専門店やオンラインストアに比べて、価格設定はやや高くなる傾向にあります。
また、山葡萄バッグの常設売り場を持つ百貨店は非常に限られており、多くは期間限定の「職人展」や「日本の手仕事展」といった催事での出店となります。お目当ての工房や作家がいる場合は、事前に公式サイトなどで出店スケジュールを meticulously 確認しておく必要があります。
結論として、特に初めて山葡萄バッグを購入する方や、品質に徹底的にこだわり失敗したくない方にとって、百貨店は非常に安心できる購入場所です。価格だけでなく、そこで得られる専門的な情報や長期的な安心感といった付加価値も総合的に考慮して、購入場所を検討するのが賢明な判断と言えるでしょう。
アケビやくるみのかごと山葡萄どれがいい?

日本の豊かな自然から生まれる手編みのかごバッグには、山葡萄の他にも、アケビやくるみ(鬼ぐるみ)の皮を使ったものがあり、それぞれが異なる表情と魅力を持っています。どれが一番優れているというわけではなく、ご自身のファッションスタイルやライフスタイル、そして何を最も重視するかによって最適な選択は変わってきます。それぞれの素材の特性を深く理解しておくことが、最高のパートナーバッグを見つけるための鍵となります。
ここでは、3つの代表的な国産自然素材かごバッグの主な特徴を、より詳細な項目で比較してみました。
素材 | 特徴 | 経年変化 | 重量感 | 価格帯 | こんな方におすすめ |
---|---|---|---|---|---|
山葡萄 | 非常に頑丈で、野趣あふれる力強い風合い。重厚感と風格があり、他の素材にはない圧倒的な存在感を放つ。 | 最も劇的な変化を楽しめる。日々触れることで艶が増し、深い飴色から黒光りするこげ茶色へと育っていく。 | 重め | 高価 | 一生モノとしてバッグを「育てる」過程を楽しみたい方。流行に左右されない本質的な価値と重厚感を求める方。 |
くるみ | 山葡萄に似た風合いを持つが、より柔らかく手触りが滑らか。色味は明るめの茶色が中心。比較的軽く、扱いやすい。 | 使い込むことで艶が増し、色味は徐々に濃くなるが、山葡萄ほどのダイナミックな変化ではない。穏やかに育つ印象。 | 普通 | やや高価 | 山葡萄の力強い雰囲気が好きだが、もう少し軽くて日常的に使いやすいものを探している方。初めての本格的なかごバッグとしても人気。 |
アケビ | しなやかで弾力性に富む。繊細で優しい雰囲気を持ち、編み目の美しさが際立つ。通気性が良く、非常に軽いのが最大の特徴。 | 新品の頃の明るい色から、徐々に色が濃くなり艶が増していく。素朴で温かみのある風合いが、時間と共に深まる。 | 軽い | 比較的手頃 | 何よりも軽さを重視する方。ナチュラルで優しいファッションを好む方。日常の買い物からお出かけまで、気軽に使えるかごバッグを探している方。 |
どの素材も、日本の自然と職人技が織りなす素晴らしい工芸品です。例えば、力強く育てる過程そのものを楽しみたいなら山葡萄、優しく寄り添うような軽やかさを求めるならアケビ、その中間的なバランスを望むならくるみ、といったように、ご自身の「相棒」に何を求めるかを想像しながら選ぶと、きっと素敵な出会いがありますよ。
口コミで見る「使いにくい」は本当?

山葡萄バッグの購入を検討する過程で、インターネット上の口コミなどで「重い」「洋服が引っかかる」といった、「使いにくい」という趣旨の意見を目にして、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。これらの指摘は、ある側面では事実ですが、それは素材が持つ避けられない特性に起因するものです。そして、その特性を正しく理解し、上手に付き合っていくことで、多くは問題なく、むしろ愛着へと変わっていく点でもあります。
多くの人が気になる「重さ」について
まず、重量についてです。確かに、山葡萄の蔓は繊維が密で非常に丈夫なため、ラフィアやアケビといった他のかごバッグ素材に比べると、ずっしりとした重量感があります。製品の大きさやデザインにもよりますが、平均的なサイズのもので500g~800g程度が一般的です。これは、同程度の大きさの上質なレザー製トートバッグとほぼ同じか、デザインによってはそれよりも軽い場合も多いです。しかし、普段から非常に軽いナイロン製のバッグなどに慣れている方にとっては、最初は重く感じるかもしれません。荷物をたくさん入れる習慣のある方や、バッグの軽さを最も重視する方は、購入前に必ず実物を手に取り、中に普段持ち歩くものを入れた状態を想定して重さを確認することをおすすめします。
特に使い始めに注意したい「服へのひっかかり」について
これも、特に使い始めの頃によく聞かれるデリケートな問題です。天然の樹皮をそのまま編み込んでいるため、新品のバッグの表面には、どうしても細かな「ささくれ」や「毛羽立ち」が存在します。このため、シルクのブラウスや繊細なレース、目の粗いニットといったデリケートな素材の洋服と擦れると、繊維を引っかけてしまう可能性があります。
ひっかかりへの賢い対策と付き合い方
この問題は、バッグが「育つ」につれて、驚くほど自然に解決していきます。日々使い込み、手で撫でてあげることで、表面のささくれが取れて角が丸くなり、滑らかになっていくからです。それまでの期間は、以下のような工夫で快適に使い始めることができます。
- 最初は丈夫な素材の服と合わせる:ジーンズや厚手のコットンのような、摩擦に強い素材の服と合わせることから始めましょう。
- スカーフやハンカチを活用する:バッグの側面に当たる部分に、お気に入りのスカーフや大判のハンカチを一枚垂らすだけで、効果的に衣類を保護できます。これはファッションのアクセントにもなります。
- 優しく乾拭きする:使い始めに、乾いた柔らかい布でバッグの表面全体を優しく拭き、細かな樹皮の粉を取り除くだけでも、ひっかかりが軽減されることがあります。
結論として、「使いにくい」と感じられがちな点は、山葡萄バッグが工業製品ではなく、生きた自然素材から作られている証でもあります。これらの特性を単なるデメリットと捉えるのではなく、「時間をかけて、ゆっくりと自分仕様に馴染ませていく、愛おしい過程」として楽しむことこそが、山葡萄バッグと末永く幸せに付き合うための、何よりの秘訣と言えるでしょう。
簡単な山葡萄バッグのメンテナンス方法は?

「これほど高価なバッグだから、お手入れも大変なのでは?」と心配されるかもしれませんが、その心配は全く不要です。山葡萄バッグのメンテナンスは驚くほど簡単で、特別な高価なオイルやクリームも基本的には必要ありません。むしろ、最高のお手入れは非常にシンプル。それは「できるだけ毎日、愛情を込めてたくさん撫でてあげること」なのです。
基本にして究極のお手入れ:撫でる
最も重要で、そして最も効果的なお手入れは、ご自身の清潔な手のひらで、バッグ全体を優しく、慈しむように撫でることです。私たちの手の油分は、山葡萄の蔓にとって最高の天然保湿クリームであり、自然なワックスとなります。これにより、蔓の乾燥を防いでひび割れを予防し、同時に、あの誰もが憧れる深く美しい艶を育ててくれるのです。特に持ち手部分は自然と触れる機会が多いため、最も早く艶が出てきます。その美しい変化を楽しみながら、意識してバッグ全体を均一に撫で、愛情を注いであげてください。
月に一度のスペシャルケア:ブラッシング
日々使っていると、編み目の隙間に細かなホコリや汚れが溜まってきます。月に1〜2回程度、それを優しく取り除くためにブラッシングを行いましょう。この時に使う道具として最適なのが、「棕櫚(しゅろ)たわし」です。一般的な亀の子たわし(パームヤシ製)は繊維が硬すぎて、デリケートなバッグの表面を傷つけてしまう恐れがあります。その点、棕櫚は古くから高級な座敷箒にも使われてきた素材で、非常に柔らかくしなやかなため、安心して使うことができます。編み目に沿って、ホコリを優しくかき出すようにブラッシングするのがコツです。
長期保管する場合の最重要ポイント
湿気は最大の敵!絶対にしまい込まないで
もし梅雨の時期などで長期間使わない場合でも、クローゼットや押し入れ、購入時の箱などにしまい込むのは絶対に避けてください。湿気がこもり、カビが発生する最大の原因となります。一度カビが生えてしまうと、完全に取り除くのは非常に困難です。
最も良い保管方法は、風通しの良いリビングや玄関などに、素敵なインテリアとして「飾っておく」ことです。通気性の良い不織布の袋などを軽くかけておけば、ホコリの付着も防げます。
もし突然の雨などで濡れてしまった場合は、慌てずに乾いたタオルで優しく押さえるようにして水分を拭き取り、あとは風通しの良い場所で自然に陰干ししてください。ドライヤーの熱風などで急激に乾かすのは、蔓が脆くなる原因になるので絶対にNGです。このように、基本的な約束事さえ守れば、面倒な手入れは一切不要なのも、山葡萄バッグが長く愛される理由なのですね。
山葡萄バッグはなぜ高い?答えは育てる価値にあり
- 山葡萄バッグが高価なのは、希少な国産素材と職人の高度な手仕事の結晶だから
- その人気の理由は、世代を超えて使えるほどの耐久性と、使うほどに美しくなる経年変化にある
- 値段の大きな違いは、主に「国産か中国産か」という素材の産地によって決まる
- 蔓の「一番皮」が最高級とされ、編み方が複雑でひごが細いほど高価になる
- 流行に左右されない工芸品としての「格」があり、審美眼の高い人々にも愛用されている
- その寿命は「100年」とも言われ、修理をしながら親子三代で受け継ぐことが可能
- 10年後には深い飴色と美しい艶が増し、持ち主だけの特別な風合いに育っている
- 後悔しない選び方の基本は、編み目が均一で、取っ手が頑丈であること
- 製造元や作家名が明確な国産品を選ぶことが、品質を見極める上で信頼性の高い指標となる
- 百貨店での購入は、品質の安心感と専門家への相談が可能という大きなメリットがある
- アケビやくるみのかごは、山葡萄とは異なる魅力(軽さや風合い)を持つ素晴らしい選択肢
- 「使いにくい」という口コミの真相は、ある程度の「重さ」と使い始めの「ひっかかり」このひっかかりは、使い込むうちに自然と馴染んで解消されていく
- 日々のメンテナンスは、難しく考えず、手のひらで優しく撫でることが基本であり最良
- 保管する際は、湿気を最大の敵と考え、風通しの良い場所に飾るように置くのが最適
コメント