【見本付】お餞別の書き方完全ガイド|金額・マナーも解説
お世話になった方へのお餞別、いざ用意するとなると「表書きはどう書けばいいの?」「金額はいくらが適切?」など、書き方やマナーに関する疑問が多く出てくるものです。特に、目上への書き方や、カジュアルな場面でのかわいい書き方など、シーンに応じた対応に迷う方も少なくありません。また、ボールペンで書いても良いのか、現金以外でオススメ商品はないかといった具体的な悩みもあるでしょう。
この記事では、そんなお餞別に関するあらゆる疑問を解消します。基本的な書き方の見本から、金額の相場、失礼にならないためのマナー、感謝の気持ちが伝わる品物まで、網羅的に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
- お餞別の基本的な書き方とマナーがわかる
- 金額や相手に応じた適切な表書きがわかる
- 注意すべき点ややってはいけないNG例がわかる
- 贈り物に最適なオススメ商品が見つかる
基本がわかるお餞別の書き方見本とマナー
- 祝儀袋に「餞別」と書く書き方は?
- 「御餞別」は失礼?目上への書き方
- はなむけの表書きはどんな時に使う?
- 餞別で中袋なしの場合の金額の書き方
- ボールペンで表書きを書いても良い?
祝儀袋に「餞別」と書く書き方は?

お餞別を贈る際の祝儀袋の書き方には、基本的なマナーがあります。これを押さえるだけで、相手に失礼なく、丁寧な気持ちを伝えることができます。
表書きと名前の書き方
まず、祝儀袋の表面、水引(飾り紐)の上段中央に「御餞別」または「御贐(おはなむけ)」と書きます。退職される理由が定年退職の場合は、「祝定年御退職」のように、より具体的な表書きを用いることも可能です。
そして、水引の下段中央には、贈り主である自分の名前をフルネームで、表書きより少し小さめに書きましょう。
お餞別で使う水引は、紅白の「蝶結び(花結び)」が基本です。蝶結びは「何度あっても良いお祝い事」に使われるため、転勤や留学、通常の退職などに適しています。
ただし、結婚による寿退社や新婚旅行のお餞別の場合は、「一度きりであってほしい」という意味を込めて、固く結ばれて解けない「結び切り」の紅白の水引を選びましょう。
連名で贈る場合の書き方
複数人でお金を出し合って贈る場合は、人数によって書き方が異なります。
人数 | 書き方 | 補足 |
---|---|---|
2~3名 | 役職や年齢が上の人を右から順に書き、全員の氏名を列記します。友人同士なら五十音順でも構いません。 | 中央に代表者の名前を書き、その左側に他の人の名前を連ねます。 |
4名以上 | 代表者の氏名を中央に書き、その左側に「外一同(他一同)」と少し小さめに書きます。 | 全員の氏名を書いた紙(奉書紙や和紙)を別途用意し、中袋に同封するのが丁寧な方法です。 |
部署・課として | 「〇〇部一同」や「株式会社〇〇 営業部一同」のように、団体名を記載します。 | この場合も、有志全員の氏名を書いた紙を同封すると、より気持ちが伝わります。 |
「御餞別」は失礼?目上への書き方

お世話になった上司や先輩へお餞別を贈る際、表書きに「御餞別」と書くのが失礼にあたらないか、心配になる方もいるでしょう。結論から言うと、個人から目上の方へ贈る場合に「御餞別」と書くのは、避けた方が無難です。
「餞別」という言葉には、対等もしくは目下の相手への贈り物というニュアンスが含まれることがあるためです。もちろん、マナー違反とまでは言えないものの、より敬意を示すためには別の表現を選ぶのが望ましいでしょう。
目上の方へ個人で贈る場合の表書き
上司や先輩など、目上の方へ個人でお餞別を贈る際は、以下の表書きを使うのが最も丁寧です。
- 御礼:これまでの感謝の気持ちをストレートに表現できます。
- 御贐(おはなむけ):相手の新たな門出を祝い、応援する気持ちを伝えられます。
このように、感謝や応援の気持ちを示す言葉を選ぶことで、敬意が伝わりやすくなります。
部署一同で贈る場合は「御餞別」でOK
一方で、部署や課のメンバーと連名で贈る場合は、表書きを「御餞別」としても問題ありません。これは、団体から贈るという形式になるため、個人から贈る場合ほど厳密な上下関係を意識する必要がないためです。迷った場合は、より丁寧な「御礼」などを使うと良いでしょう。
はなむけの表書きはどんな時に使う?

「御餞別」と並んでよく使われる表書きに「御贐(おはなむけ)」があります。この言葉は、相手の新たな門出を祝福する、非常にポジティブで温かいニュアンスを持っています。
もともとは、旅立つ人の馬の鼻先を行く先の方向へ向けて、道中の安全を祈った古い習慣「馬の鼻向け」が語源です。このことから、相手の未来の成功や活躍を祈って送り出す、という気持ちを強く表現したい時にぴったりの言葉と言えます。
「御贐」が特にふさわしいシーン
具体的には、以下のようなポジティブな理由で新たな道へ進む方へ贈る際に最適です。
- 栄転や昇進を伴う転勤・異動
- 独立・起業のための退職
- 夢を追いかけるための留学
- 結婚による寿退社
漢字が難しい場合はひらがなでも
「贐」という漢字は画数が多く、書くのが難しいと感じるかもしれません。その場合は、無理に漢字を使わず、ひらがなで「おはなむけ」と書いても、まったく問題ありません。大切なのは、心を込めて丁寧に書くことです。
「御餞別」が別れの寂しさを含む場合があるのに対し、「御贐」は未来へのエールという側面が強い言葉です。贈る相手やシーンに合わせて使い分けることで、より深い気持ちを伝えることができるでしょう。
餞別で中袋なしの場合の金額の書き方

祝儀袋には、お札を入れるための「中袋(中包み)」が付属しているものと、そうでないものがあります。もし中袋がついていないタイプの祝儀袋を使う場合は、直接お札を入れ、祝儀袋の裏面に金額や住所、氏名を記入するのがマナーです。
裏面への書き方
書き方には決まった形式があります。相手方が後で整理しやすいように、以下の順で書きましょう。
- 場所:祝儀袋の裏面、左下のスペースに記入します。
- 内容と順番:右側に金額を書き、左側に住所と氏名を書くのが一般的です。特に決まりはありませんが、このように書くとバランスが良く見えます。
【書き方の例】
(裏面左下)
金伍阡圓也
〒〇〇〇ー〇〇〇〇
東京都千代田区〇〇一ー二ー三
鈴木 一郎
金額の書き方のポイント
金額を記入する際は、数字の改ざんを防ぎ、より丁寧な印象を与えるために「大字(だいじ)」と呼ばれる旧字体の漢数字を用いるのが正式です。
- 一 → 壱
- 二 → 弐
- 三 → 参
- 五 → 伍
- 千 → 阡
- 万 → 萬
- 円 → 圓
例えば、5,000円なら「金伍阡圓」、10,000円なら「金壱萬圓」と書きます。金額の頭に「金」を、終わりに「也(なり)」を付けるのが最も丁寧な書き方ですが、現代では「也」は省略しても問題ありません。もちろん、一般的な漢数字(例:金五千円)で書いても失礼にはあたりません。
こちらの記事もオススメです(^^)/

ボールペンで表書きを書いても良い?

結論から言うと、お餞別の表書きをボールペンで書くのはマナー違反とされています。これは、事務的な筆記用具であるボールペンでは、相手への敬意や丁寧さが伝わりにくいと考えられるためです。
祝儀袋の表書きは、お祝いや感謝の気持ちを正式に伝えるためのものです。そのため、古くからの慣習に倣い、毛筆で書くのが最も丁寧な方法とされています。
推奨される筆記用具
表書きや中袋に記入する際は、以下の筆記用具を使いましょう。
- 毛筆または筆ペン:最も正式で推奨される方法です。字の上手い下手は関係ありません。心を込めて丁寧に書くことが何よりも大切です。
濃い黒色の墨を選んでください。薄墨は香典など弔事の際に使うものなので、お祝い事であるお餞別には絶対に使わないようにしましょう。
「どうしても筆ペンが苦手で…」という方もいらっしゃるかもしれませんね。最近では筆に似たタッチで書けるサインペンなども市販されています。しかし、基本はやはり毛筆か筆ペンです。コンビニエンスストアなどでも手軽に購入できるので、ぜひ一本用意しておくことをおすすめします。丁寧に書かれた文字は、きっと相手の心に響きますよ。
万年筆やサインペンは?
ボールペンよりはましですが、万年筆やフェルトタイプのサインペンも略式と見なされるため、特に目上の方へのお餞別では避けた方が無難です。相手に礼を尽くす場面では、正式なマナーに従いましょう。
シーン別のお餞別の書き方見本とおすすめ
- お餞別の金額はいくらが適切か
- 餞別で五千円を包む場合の書き方
- ほんの気持ちを伝える封筒の書き方
- 親しい同僚に贈るかわいい書き方
- 感謝が伝わるオススメ商品と地元のギフト
お餞別の金額はいくらが適切か

お餞別として現金を包む際、最も悩むのが「いくら包めば良いのか」という金額の相場ではないでしょうか。金額は、贈る相手との関係性や、退職・転勤といった状況によって大きく変わります。相場を知っておくことで、相手に気を遣わせすぎたり、逆に失礼になったりするのを防ぐことができます。
関係性別の金額相場一覧
一般的な金額の目安を以下の表にまとめました。これはあくまで目安であり、職場の慣習や個人的な関係の深さによって調整してください。
贈る相手 | 個人で贈る場合 | 複数人(連名)で贈る場合(1人あたり) |
---|---|---|
上司・先輩 | 5,000円~20,000円 | 1,000円~5,000円 |
同僚・友人 | 3,000円~10,000円 | 1,000円~3,000円 |
部下・後輩 | 3,000円~10,000円 | 1,000円~3,000円 |
金額に関する注意点
金額を決める際には、以下の点に注意しましょう。
- 「4」や「9」のつく金額は避ける:「死」や「苦」を連想させるため、お祝い事では縁起が悪いとされています。4,000円や9,000円といった金額は避けましょう。
- 高額すぎないように:お餞別は、基本的にお返しを必要としない贈り物です。あまりに高額なものを贈ると、かえって相手に精神的な負担をかけてしまう可能性があります。
- 新札を用意する:新しい門出を祝う気持ちを込めて、できるだけ新札を用意するのがマナーです。銀行の窓口などで両替できますので、事前に準備しておくと良いでしょう。
餞別で五千円を包む場合の書き方

同僚や部下へのお餞別として、5,000円はよく選ばれる金額です。ここでは、具体的に5,000円を包む場合の祝儀袋(中袋)の書き方と、お札の入れ方について解説します。
中袋の表面:金額の書き方
中袋の表面中央には、包んだ金額を縦書きで記入します。前述の通り、より丁寧なのは旧字体の「大字」を使う方法です。
- 最も丁寧な書き方:金伍阡圓
- 一般的な書き方:金五千円
どちらで書いても問題ありませんが、目上の方やフォーマルな場では旧字体を使うと、より敬意が伝わります。
中袋の裏面:差出人の書き方
中袋の裏面の左下には、ご自身の住所と氏名を記入します。郵便番号から書くと、より親切です。これにより、受け取った相手が誰から頂いたものかを正確に把握できます。
お札の正しい入れ方
お札の入れ方にもマナーがあります。気持ちよく受け取ってもらえるよう、以下の点を守りましょう。
- 新札を用意する:可能な限り、折り目のない綺麗なお札(新札)を用意します。
- お札の向きを揃える:複数枚入れる場合は、すべてのお札の向きを揃えます。
- 入れる向き:お札の肖像画(野口英世の顔)が中袋の表側、かつ上に来るように入れます。袋を開けた時に、すぐに肖像画が見える状態が正しい向きです。
これらの作法は、相手への心遣いの表れです。少しの手間をかけることで、あなたの丁寧な気持ちがより一層伝わるはずです。
ほんの気持ちを伝える封筒の書き方

退職や異動ではなく、例えば同僚が出張や少し長めの旅行に行く際など、少額のお餞別を渡したい場面もあるでしょう。そういった場合に、大げさなご祝儀袋を使うのは気が引けるものです。そんな時は、ポチ袋やデザイン性の高い小さな封筒を活用するのがおすすめです。
大切なのは、堅苦しいマナーに縛られることよりも、相手に気を遣わせずに「ほんの気持ちだよ」というメッセージを伝えることです。
カジュアルな場面での表書き
ポチ袋などを使う場合、表書きは以下のような柔らかい表現が適しています。
- ほんの気持ち
- 心ばかり
- お礼
水引などが印刷された略式のご祝儀袋や、無地の白封筒を使うのも良いでしょう。表書きの下には、もちろん自分の名前をフルネームで書きます。
目上には使えない「寸志」と「薄謝」
ここで注意したいのが、「寸志(すんし)」や「薄謝(はくしゃ)」という言葉です。これらは「少しばかりの心遣い」という意味ですが、明確に目下の人に対して使う言葉です。上司や先輩に使うと大変失礼にあたりますので、絶対に避けてください。「心ばかり」であれば、目上の方にも使うことができます。
親しい間柄であれば、メッセージ入りの可愛いポチ袋なども喜ばれますね。ただし、現金を包むものですから、あまりに子どもっぽいデザインや、使い古した封筒は避け、清潔感を大切に選びましょう。
親しい同僚に贈るかわいい書き方

いつも一緒に頑張ってきた同僚や、かわいがってきた後輩への餞別なら、形式的なマナーだけでなく、親しい間柄だからこそできる温かみをプラスしたいものです。ちょっとした工夫で、ありきたりな餞別が、心に残る特別な贈り物に変わります。
メッセージカードを添える
一番シンプルで効果的なのが、短い手紙やメッセージカードを添えることです。「お金だけ」よりも、手書きの言葉が添えられている方が、気持ちは何倍も伝わります。
【メッセージ例文】
- 「〇〇さん、〇年間本当にお疲れ様でした!寂しくなるけど、新しい場所での活躍を応援しています!」
- 「一緒に働けて本当に楽しかったです。〇〇さんの明るい笑顔が見れなくなるのは残念ですが、また絶対に飲みに行きましょうね!」
- 「困った時にいつも助けてくれてありがとう。〇〇さんなら、どこへ行っても大丈夫!陰ながら応援しています。」
イラストやシールでデコレーション
かしこまった祝儀袋ではなく、少しデザイン性のある封筒やポチ袋を選び、ワンポイントのイラストを描き加えたり、お洒落なシールを貼ったりするのも素敵です。相手の好きなキャラクターやモチーフをさりげなく取り入れると、よりパーソナルな贈り物になります。
やりすぎには注意!
親しき仲にも礼儀あり、です。あくまで主役は相手を送り出す気持ち。デコレーションが過剰になりすぎて、本来の目的が見えなくならないように注意しましょう。清潔感と上品さを忘れずに、相手が喜ぶ顔を思い浮かべながら準備するのがコツです。
感謝が伝わるオススメ商品と地元のギフト

「現金をそのまま渡すのは、少し味気ない気がする…」「相手の負担にならないような、気の利いた贈り物をしたい」そうお考えの方も多いでしょう。そんな時は、現金ではなく品物でお餞別を贈るのも素晴らしい選択です。
定番で喜ばれるオススメ商品
退職や転勤の贈り物としては、以下のような品物が定番で人気があります。
- お菓子・スイーツ:個包装で日持ちのする焼き菓子などは、職場でも分けやすく、ご家族にも喜ばれます。
- 飲み物:コーヒーや紅茶のギフトセット、お酒が好きな方なら少し良いビールや日本酒なども良いでしょう。
- 雑貨・日用品:新しい職場で使える上質な文房具や、新生活で役立つタオル、リラックスグッズなども人気です。
- 花束:やはり送別の場には欠かせません。相手のイメージに合わせた花束は、場を華やかにし、感謝の気持ちを象徴してくれます。
迷ったらコレ!選ぶ楽しみを贈る「地元のギフト」
相手の好みが分からず品物選びに迷ってしまう、という場合に最適なのが、受け取った相手が自分で好きなものを選べるカタログギフトです。中でも、特におすすめしたいのが「地元のギフト」というサービスです。

「地元のギフト」とは?
「地元のギフト」は、ただ商品が羅列されているだけのカタログギフトではありません。全国各地のつくり手(生産者)の顔や想いが見える、ストーリー性の高いギフトです。
受け取った方は、日本全国の美味しいものやこだわりの産品の中から、本当に欲しいものを自分で選ぶことができます。「何を贈れば喜ばれるか」という贈り主の悩みを解決し、「選ぶ楽しみ」という体験までプレゼントできるのが最大の魅力です。
お世話になった方への感謝と、これからの活躍を応援する気持ちを込めて、日本各地の美味しいものを贈る。そんな新しい形のお餞別は、きっと心に残る贈り物になるはずです。
総まとめ:失敗しないお餞別の書き方見本
この記事では、お餞別の書き方に関する様々なマナーや見本を解説してきました。最後に、重要なポイントをリスト形式で振り返りましょう。これさえ押さえておけば、どんなシーンでも自信を持って対応できるはずです。
- 表書きは水引の上に「御餞別」と書くのが基本
- 目上の方へ個人で贈る場合は「御礼」や「御贐」がより丁寧
- 「御贐(おはなむけ)」は新たな門出を祝う気持ちを強く表現できる
- 水引は基本的に紅白の「蝶結び」を選ぶ
- 結婚が理由の場合は「結び切り」を使用する
- 筆記用具は毛筆か濃い黒の筆ペンを使い、ボールペンは避ける
- 薄墨は弔事用なので絶対に使わない
- 金額は中袋の表面に旧字体(大字)で書くのが最も丁寧
- 中袋がない場合は祝儀袋の裏面左下に金額・住所・氏名を書く
- 金額の相場は相手との関係性によって3,000円から20,000円程度
- 「4」や「9」のつく縁起の悪い金額は避ける
- お札はできるだけ新札を用意し、肖像画の向きを揃えて上向きに入れる
- 「寸志」や「薄謝」は目上の方には使わない
- 現金だけでなく、気持ちが伝わる品物や花束を贈るのも良い選択
- 品物選びに迷ったら、相手が選べるカタログギフト「地元のギフト」もおすすめ
コメント